カウンセリング研究
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がん患者の自己統合性を保持する心理機制
小久保 正昭
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2010 年 43 巻 2 号 p. 131-140

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抄録

本研究では,精神的な危機的状況に陥った際に示されるがん患者の心理的反応や心理的プロセスの分析に基づき,がん患者の精神的崩壊の危機を回避し自己統合性を保持する心理機制について明らかにすることを目的とした。分析対象はがん患者20人(男性13人,女性7人,平均年齢60.6歳)とした。また,分析方法としてはStrauss & Corbin(1990)のGrounded Theory Approachを準用した。その結果,がん患者の心理機制カテゴリーとして,精神的崩壊危機の直面,精神的崩壊危機の回避,自己統合性の保持が生成された。精神的崩壊危機の直面に関しては6つのサブカテゴリー(予期型緊張高揚,疑念型緊張高揚,希望保持型緊張高揚,衝撃型緊張高揚,抑うつ型緊張高揚,絶望型緊張高揚)が生成された。また,精神的崩壊危機の回避に関しては6つのサブカテゴリー(否認型緊張低減,感情吐露型緊張低減,信仰型緊張低減,受容型緊張低減,希望型緊張低減,経時型緊張低減)が生成された。さらに,自己統合性の保持に関しては2つのサブカテゴリー(感情吐露型緊張解放,統合性保持型緊張解放)が生成された。

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© 2010 日本カウンセリング学会
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