2022 年 6 巻 s3 号 p. s166-s169
北陸3県の博物館・図書館等(MLA)に対して、過去の放送番組アーカイブの利用ニーズをアンケート調査したところ、約70%が「利用したい」と回答。理由として、放送映像のわかりやすさなどの魅力が、博物館等での展示内容を補強充実させ、地域文化の継承や集客、さらにはPRになることで観光客や移住者の増加など地域活性化の効果に期待があげられた。一方、権利処理コストや、放送局の相談窓口機能の貧弱さと高額な使用料など、放送アーカイブ活用に際しての課題も抽出された。デジタル化とコロナ禍で存在感低下が危惧される地域MLAと、同じく「テレビ離れ」の加速に苦しむ放送局、ともに従来「公共」を担ってきた両者が、アーカイブ利活用を通じて協力・連携することで、変容・混迷する公共空間の立て直しの一助になり得る。調査分析結果を踏まえ、法改正と放送局の運用改善など、活用促進に向けて提言する。