カウンセリング研究
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原著
高校生を対象とする感情の認知に焦点をあてたソーシャルスキルトレーニングの効果
原田 恵理子渡辺 弥生
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2011 年 44 巻 2 号 p. 81-91

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抄録
本研究では,高校1年生を対象としたソーシャルスキルトレーニング(SST)を行い,ソーシャルスキルと自尊心に及ぼす効果を検討した。このプログラムは,自尊心や怒りといった感情のコントロールをターゲットスキルに取り入れ,感情の認知的側面に焦点をあてて実践されたものである。実施期間は4か月で,総合的な学習の時間を利用し,10セッションが実施された。ターゲットスキルは,a)自己紹介,b)コミュニケーション,c)聴く,d)自尊心,e)敬意,f)感情のコントロール,g)目標をたて実行する,h)あたたかいことばかけ(感謝する)の8つのスキルであった。アセスメントに,社会的スキルや自尊心の尺度を用い,行動評定とともに実践前と実践後に行った。その結果,向社会的スキルが増加し,引っ込み思案行動と攻撃行動が減少した。自尊心は,失敗不安を抑制する効果を得ることができた。高等学校における感情の認知に焦点をあてたSSTは,向社会的スキルの向上と引っ込み思案行動および攻撃行動の抑制を支援するプログラムとして効果をもつことが示唆された。
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© 2011 日本カウンセリング学会
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