抄録
小学校現場では10年ほど前から,児童の対人関係作りにソーシャルスキルの視点が導入され成果をあげている。一方,課題として,ソーシャルスキルの般化が指摘されている。その理由のひとつに,夏休み,冬休みといった休業期間中は,子どもが他者とかかわる中でソーシャルスキルを使用する機会やソーシャルスキルの実行に対する正のフィードバックを受ける機会が減少することが指摘されている。そこで,本研究では夏休みと冬休みに,家庭におけるソーシャルスキル・トレーニング(Social Skills Training at Home,以下SSTH)を行った。目標スキルとして,夏休みには「じょうずな聴き方」,冬休みには「じょうずな話し方」を取り上げた。訓練対象者は3~6年生の児童247名であった。その保護者がSSTHの実施者であり,①子どもにモデルとしてソーシャルスキルを実行してみせ,②子どものソーシャルスキルの実行を誉めて,正のフィードバックを与えた。SSTHの効果を測定するために,保護者は夏休みあるいは冬休みの前後に,家庭での子どもの目標スキルの実行程度を評定した。評定得点の平均値について,t検定を行ったところ,事後得点が有意に上昇していた。