カウンセリング研究
Online ISSN : 2186-4594
Print ISSN : 0914-8337
ISSN-L : 0914-8337
44 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • ―いじめられた体験から自己成長感に至るプロセスの検討―
    亀田 秀子, 相良 順子
    2011 年44 巻4 号 p. 277-287
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/03/12
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,過去のいじめられた体験の体験者の語りから,自己成長感をもたらす要因を検討することである。専門学校生,短大生,大学生の男女17名を対象に半構造化面接を実施した。結果は,次の通りである。自己成長感をもたらす要因として,1)学校・家庭での話しやすい関係の構築と自己開示があったこと,2)いじめられた辛さをわかってくれる人の存在,信頼のおける大人の存在,3)家族関係と友人関係の良好さ,4)ソーシャル・サポートが得られたこと,5)積極的な対処法を取ったことが示唆された。また,いじめられた体験から自己成長感に至るプロセスにおいて,自己開示,ソーシャル・サポート,重要な他者の存在,肯定的意味づけ,そしてポジティブ思考などが,自己成長感に至る重要な促進要因であることが示唆された。
  • 土居 正城, 加藤 哲文
    2011 年44 巻4 号 p. 288-298
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/03/12
    ジャーナル フリー
    本研究では,学校の受入体制とスクールカウンセラー(以下,SC)の活動からSCと教員の連携促進要因を探索的に見いだし,それらの要因が連携行動に及ぼす効果を検討するために,SC 104名,SC担当者155名の計259名を対象に質問紙調査を実施した。因子分析の結果,受入体制尺度からは「職務内容の明確化」「積極的な活用」「広報」「情報交換の場の設定」の4因子が,SC活動尺度からは「問題への積極的な関与」「学校に合わせた活動」「関係者へのアプローチ」の3因子が,連携行動尺度からは「問題への対処」「情報共有」「学級,学年,学校規模の活動」「SCによる実態把握」の4因子が抽出された。共分散構造分析の結果,「職務内容の明確化」「積極的な活用」「問題への積極的な関与」「学校に合わせた活動」「関係者へのアプローチ」が連携行動を促進することが示された。
  • ―「聴く」スキルと「話す」スキルの対人関係における役割とは?―
    藤原 健志, 濱口 佳和
    2011 年44 巻4 号 p. 299-312
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/03/12
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,社会的スキルの中でも基本といわれている聴くスキルを測定する,信頼性・妥当性を備えた質問紙尺度を開発し,スキルの規定要因と社会的適応との関連を検討することであった。高校生を対象とした質問紙調査の結果,信頼性・妥当性を備えた聴くスキルの認知面と行動面を測定する2尺度が作成された。同様に高校生を対象に,聴くスキル/主張性尺度を用いて,親和動機と学校生活満足感との関連を,共分散構造分析を用いて検討した。その結果,親和動機の中でも親和傾向が社会的スキルを高めていた。また,主張性尺度は学級生活満足感尺度の承認と,聴くスキル尺度は被侵害とそれぞれ関連を有しており,各スキルが果たす適応に対する機能の差異を明らかにした。
資料
  • 藤枝 静暁
    2011 年44 巻4 号 p. 313-322
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/03/12
    ジャーナル フリー
    小学校現場では10年ほど前から,児童の対人関係作りにソーシャルスキルの視点が導入され成果をあげている。一方,課題として,ソーシャルスキルの般化が指摘されている。その理由のひとつに,夏休み,冬休みといった休業期間中は,子どもが他者とかかわる中でソーシャルスキルを使用する機会やソーシャルスキルの実行に対する正のフィードバックを受ける機会が減少することが指摘されている。そこで,本研究では夏休みと冬休みに,家庭におけるソーシャルスキル・トレーニング(Social Skills Training at Home,以下SSTH)を行った。目標スキルとして,夏休みには「じょうずな聴き方」,冬休みには「じょうずな話し方」を取り上げた。訓練対象者は3~6年生の児童247名であった。その保護者がSSTHの実施者であり,①子どもにモデルとしてソーシャルスキルを実行してみせ,②子どものソーシャルスキルの実行を誉めて,正のフィードバックを与えた。SSTHの効果を測定するために,保護者は夏休みあるいは冬休みの前後に,家庭での子どもの目標スキルの実行程度を評定した。評定得点の平均値について,t検定を行ったところ,事後得点が有意に上昇していた。
  • ―不登校感情の低減を目指して―
    土田 まつみ, 三浦 正江
    2011 年44 巻4 号 p. 323-335
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/03/12
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,小学校における不登校の予防を目的として,心理的ストレス尺度の結果に基づく理解と働きかけといった一連の介入アプローチの効果を検討することであった。計22学級の児童に対して,学校ぎらい感情,ストレス反応,学校ストレッサー,ソーシャルサポートの測定尺度を実施し,学校ぎらい感情の高得点者をスクリーニングした。学級担任と心理学の専門家とで,当該児童のストレス状態について情報・意見交換を行い,それに基づいた介入を学級担任が行った。その結果,当該児童の学校ぎらい感情が介入後に低減することが示された。さらに,学級担任を対象とした面接の結果,本アプローチは効果的で負担感が少なく,特に児童のストレスについて学校スタッフ間での共通理解が得られる点が有効だと報告された。最後に,スクールカウンセラーと学級担任,学級担任と同学年・学校の教師との協働の可能性が議論された。
ケース報告
  • 高品 孝之
    2011 年44 巻4 号 p. 336-345
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/03/12
    ジャーナル 認証あり
    本研究は,交流分析における禁止令と拮抗禁止令の考え方を用いて,現場の教員が生徒の状況や成育歴を迅速に把握でき,かつ支援の計画を効果的に立てることを可能にする方策を考察し,実施した。学校カウンセリングや非行事故の初期のあり方としては,生徒に対する支援計画を立てることが重要である。しかし,心理的な訓練を受けていない高校教員が,生育歴を中心に非行事故に繋がるさまざまな要因から,問題行動に影響を及ぼすものを抽出することは困難を伴う。特に教育困難高校にあっては,非行事故を起こす生徒の数の多さから,現場の教員が支援計画を立て,実施することはあまりない。かかることから,見立ての方向性を示す表(支援表)を予め作成し,それに基づいて実施をした。実施に際しては,学校における人的・物的資源を活用することを心がけた。
  • ―保健室登校の事例を通して―
    相樂 直子, 石隈 利紀
    2011 年44 巻4 号 p. 346-354
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/03/12
    ジャーナル 認証あり
    本研究では,C中学校における保健室登校のチーム援助の事例において,コーディネーターである養護教諭(第1筆者)が実施したコーディネーションの内容,および養護教諭が行ったコーディネーションが援助サービスに与える影響,さらに,養護教諭が行うコーディネーションの特徴について明確にすることを目的とした。その結果,コーディネーションには,①援助チームの形成,②援助チームの活用,③援助チームの移行や拡充に関するものがあり,これらは援助サービスの充実を促進することが明らかになった。養護教諭が行うコーディネーションの特徴については,①心身の健康の専門性を生かす,②子どもとのかかわりから,子どもの援助資源・自助資源を活用する,③学校保健活動におけるネットワークを活用する,④特定の学年やクラスに属さないメリットを生かす,という4点が明らかになった。
feedback
Top