カウンセリング研究
Online ISSN : 2186-4594
Print ISSN : 0914-8337
ISSN-L : 0914-8337
原著
サイコドラマ効果測定尺度の作成
谷井 淳一
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 45 巻 2 号 p. 111-122

詳細
抄録

 本研究の目的は,サイコドラマ効果測定尺度を開発することにある。調査は3回の調査全体で大学生312名(男子139名,女子167名,不明6名)について実施された。最尤法・プロマックス回転を用いて因子分析した結果,4因子が抽出され,第1因子は自己肯定感,第2因子は自己の再認識,第3因子は普遍性,第4因子は支えられ感,と命名された。これらの下位尺度について信頼性と妥当性の検討がなされた。さらに,312名のうちサイコドラマの授業を履修中の学生31人(男子11人,女子20人)には縦断的な調査が実施された。受講学生は授業に積極的なA群(16人)とやや消極的なB群(15人)に分けられた。サイコドラマの授業はグループごとに2週間おきに合計8回実施され,そのうち授業の終わりに5回調査が行われた。サイコドラマ参加者31人のうち,主役を1度以上経験したものを主役あり群(14名),主役を経験しなかったものを主役なし群(17名)として,5回の調査の結果を比較した。自己肯定感,自己の再認識については,最初のセッションから8回目にかけて有意な増加がみられた。普遍性については,A群にのみセッションを通じた増加がみられた。支えられ感については,B群の主役あり群にセッションを通じた増加がみられた。

著者関連情報
© 2012 日本カウンセリング学会
前の記事 次の記事
feedback
Top