抄録
本研究では,被開示者に対する類似性が,信頼感,好意感を媒介して自己開示へ与える影響を検討した。その際,類似性を表面的側面の類似と内面的側面の類似に分けた。大学生216名を対象とし,対象者に仮想の人物についての説明文を読んでもらった。そして,その仮想の人物に対しての類似性,対人魅力,自己開示を質問紙によって測定した。類似性を独立変数,信頼感と好意感を媒介変数,自己開示を従属変数としたパス解析を行った結果,表面的側面の類似からは,内面的自己開示,信頼感,好意感への正のパスがみられた。また,内面的側面の類似からは,信頼感と好意感への正のパスがみられた。さらに,表面的側面の類似と内面的側面の類似は,信頼感を媒介として内面的自己開示,表面的自己開示を促進することが示された。また,表面的側面の類似と内面的側面の類似は,好意感を媒介として,表面的自己開示を促進することが示された。本研究の結果より,類似の側面によっても自己開示や対人魅力へ与える影響に違いがあることが示された。カウンセラーに対する表面的側面の類似の認知を活性化させることにより,クライエントの自己開示を促進させることができるかもしれないことが示唆された。