抄録
本研究では,Self-involving技法がカウンセラーに対する印象評価と自己開示に与える効果を検討した。その際,Self-involving技法によって開示される感情が肯定的なものであるか否定的なものであるかという開示感情の質を考慮して検討した。その方法として,大学生180名にカウンセリング場面の逐語録を読んでもらい,そのカウンセラーに対する印象評価と自己開示を質問紙で尋ねた。カウンセラーが肯定的な感情を開示している逐語録を読む群,否定的な感情を開示している逐語録を読む群,Self-involving技法を抑制している逐語録を読む群の3群を設定した。その結果,肯定的な感情を開示するか否定的な感情を開示するかでクライエントに与える効果に違いがあることが示された。また,カウンセラーに対する印象評価と自己開示に効果的な影響を与えるのは,肯定的な感情のSelf-involving技法を行った場合であることが示された。さらに,場合や文脈によっては,否定的な感情のSelf-involving技法が有効に働く場面がある可能性が示唆された。