カウンセリング研究
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原著
浅い関係で用いられるスキルに関する研究
田中 圭宮前 淳子
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2016 年 49 巻 3-4 号 p. 139-150

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抄録

本研究では,浅い友人関係を円滑に運営するためのソーシャルスキルについて検討することを目的とした。大学生400名を対象に質問紙調査を実施した。浅い関係で用いられるスキル尺度の因子分析の結果,「表面的同意スキル」「楽しさ演出スキル」「衝突回避スキル」の3因子が抽出され,それぞれ内的一貫性が確認された。次に,これまで用いられてきたソーシャルスキルとの関連について検討した結果,「楽しさ演出スキル」が高い人ほど,従来のソーシャルスキル尺度(相川・藤田, 2005)における「関係開始スキル」「記号化スキル」が高いことが明らかとなった。「衝突回避スキル」が高い人ほど,従来のソーシャルスキル尺度における「関係維持スキル」が高いことが明らかとなった。最後に,浅い関係で用いられるスキルと従来のソーシャルスキルが対人関係円滑度にどのような影響を及ぼすかについて重回帰分析を行った。その結果,浅い関係で用いられるスキルでは「衝突回避スキル」が対人関係を円滑にする方向で影響を及ぼすことが明らかとなった。従来のソーシャルスキルでは「関係開始スキル」が対人関係を円滑にする方向で影響を及ぼすことが明らかとなった。

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© 2016 日本カウンセリング学会
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