カウンセリング研究
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原著
小学生の母子保健室登校による養護教諭の心理的変容モデルの構築 ―修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによる仮説モデルの生成―
藤井 茂子石隈 利紀濱口 佳和
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2018 年 51 巻 1 号 p. 14-26

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抄録

本研究の目的は,母子保健室登校の援助経験によって生じる,養護教諭の心理的変容過程についての仮説的モデルを生成することである。小学生の子どもの母子保健室登校の援助を経験した13名の養護教諭を対象に,半構造化面接を実施した。面接によって得られた逐語記録を修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによって分析した結果,57概念,14カテゴリー,3カテゴリーグループが抽出された。選択的コーディングにより,母子保健室登校の援助経験における養護教諭の心理的変化は,学校のサポート要因や母子保健室登校の学校の援助の影響を受け,養護教諭の子どもの成長発達と職務特性についての理解としてまとめられた。養護教諭の心理的変容は,母子保健室登校の援助過程を通して,担任や級友など学校の援助者や母親とかかわりながら,相互に影響を受けることが明らかにされた。また,養護教諭は援助者をつなぐコーディネーターとして機能していた。養護教諭が保健室でともに過ごした母親の心情を受容的共感的に理解したことで,養護教諭の子どもへの理解が深まり,保健室機能や職務特性を理解したことが明らかになった。

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© 2018 日本カウンセリング学会
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