カウンセリング研究
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カウンセリング・イメージの経年変化 ―教職課程の大学生を対象として―
坂本 憲治千島 雄太
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2018 年 51 巻 1 号 p. 27-38

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抄録

本研究の目的は,大学生のカウンセリング,カウンセラーに対するイメージの経年変化を明らかにすることであった。A大学の大学生630名(2004年350名,2015年280名)を対象に質問紙調査を実施し,11年間のイメージ変化とカウンセリング来談意思との関連を検討した。分析の結果, 2015年調査では,2004年調査に比べて「援助の専門家」「利用価値のある場」という肯定的イメージが有意に高まり,「頼りたくない人」「信用できない場」という否定的イメージが低下していた。 カウンセリング来談意思とイメージの関連において,2004年では「頼りたくない人」というイメージが「性格」「進路」に関する来談意思を抑制していたのに対し,2015年調査にその傾向は認められなかった。また,2015年調査では「利用価値のある場」というイメージが高いほど,さまざまな悩みについて来談意思が有意に高まっていた。この傾向は2004年調査にはみられなかった。以上から,大学生のカウンセリング,カウンセラーに対するイメージは11年間を経て肯定的な方向に変化し,それによって来談意思が喚起されやすくなっていることが示唆された。

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© 2018 日本カウンセリング学会
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