2019 年 52 巻 2 号 p. 72-86
子どもの全般的な社会性の発達を促進しようとする試みとして「学級単位の集団ソーシャルスキル・トレーニング(Classwide Social Skills Training: CSST)」が行われている。その一方で,CSSTで習得したスキルを般化させるための方略については十分に整理がなされていない。本論文では,応用行動分析学の見地から般化促進方略の枠組みを示したStokes & Osnes(1989)に基づいて,これまでに本邦で実践されたCSST研究を概観し,多岐にわたるCSSTの手続きを整理することを目的とした。35編のCSST研究が展望対象となり,該当する般化促進方略についてコーディングが行われた。成果として,これまでCSST研究において使用された手続きと般化促進方略との対応関係が示され,その特徴と課題が明らかとなった。今後の展望として,標的スキルの般化に関する評価を組み込んだ上でCSSTに般化促進方略を意図的に導入し,CSSTの効果を促進する要因を特定するための研究を積み重ねていく必要性を指摘した。