2025 年 58 巻 2 号 p. 67-77
本研究の目的は,大学生を対象に,友人から悩みを相談された際のファーストエイド方略と情緒的巻き込まれの恐れについて,友人の状態とその識別による違いを検討することであった。大学生160名を対象に質問紙調査を行い,うつ病,統合失調症,学業不振の3つの事例について,事例の識別,ファーストエイド方略の実行意図,情緒的巻き込まれの恐れについて尋ねた。事例を要因とした分散分析の結果,推奨方略の実行意図は,うつ病事例と統合失調症事例で学業不振事例よりも有意に高かった。非推奨方略の実行意図には,事例による有意差はみられなかった。情緒的巻き込まれの恐れは,統合失調症事例で他の2つの事例より有意に高かった。事例識別の正誤によるt検定の結果,うつ病事例を正しく識別した者の推奨方略の実行意図は,そうでない者より有意に高かった。統合失調症事例を正しく識別した者の非推奨方略の実行意図は,そうでない者より有意に低かった。本研究の結果から,友人の状態に応じて,大学生の対応や喚起される感情には差があることが明らかになった。最後に,本研究に基づき,より有効性を高めるためのメンタルヘルス・ファーストエイド教育について考察した。