2025 年 58 巻 2 号 p. 79-91
本研究の目的は,非行の子どもと向き合う自助グループに通所経験をもつ親の体験プロセスを明らかにして,親の心理的変容プロセスについての仮説モデルを生成し,支援について検討することである。本研究では,非行の子どもと長期に向き合った10名の親を対象に半構造化面接を実施した。面接で得られた逐語記録を修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析し,26概念,8カテゴリー,6カテゴリーグループが抽出された。その結果,非行が始まり落ち着くまでの間,親は『非行を止めようと奔走』→『振り回され,自らを責め,孤立化』→『視野の広がり』→『子どもを受容』の体験プロセスを経ていることが示された。そのプロセスは,『新たな出会い』の中で展開していた。また,親は『新たな出会い』に支えられ,新たな社会と関わりをもち相互作用が生まれることにより,『親であること』の心理的意味が変容し,自己を受容し子どもを受容できるようになることが示唆された。非行の子どもをもつ親の支援については,学習会などで非行に関する知見を広げ,問題を分ち合い,ともに語り・聴き,一緒に考えてくれる人たちとの出会いが有効であることが示唆された。