抄録
通勤交通は、居住地から発生する交通と従業地へ集中する交通によって形成されているため、通勤トリップ長は居住地及び従業地の規模、地理的位置関係等の都市構造、さらには通勤者の交通行動によっても大きな影響を受ける。本研究においては通勤者の実際の交通行動を踏まえて通勤トリップ長を削減させるような職住分布について考察を試みる。実際の通勤交通行動の分析手法としては、就業者が居住地からある確率に従って従業地を選好して通勤するという行動を把握することができるとともに、曲線回帰によって通勤交通行動を計量的に分析することが可能であるプリファレンス曲線に着目した。プリファレンス曲線を組み込んだ問題を定式化して、職住分布の変化が通勤トリップ長に及ぼす影響について考察を試みた。その結果、ある通勤交通行動の下で、通勤トリップ長を減少させることができる職住分布について考察することができた。本研究においては、1994年における札幌市の通勤交通を対象にプリファレンス曲線を作成するとともに、職住分布の変化と通勤トリップ長について実証的な考察を試みた。