2022 年 3 巻 J2 号 p. 389-397
塩害などで生じるRC構造物の腐食ひび割れ幅は撮影された画像などから容易にかつ大量に得ることができるようになってきた.それらを用いて鉄筋の腐食状況の空間分布を正確に推定することができれば,現状把握だけでなく,劣化の将来予測にも役立てることができる.本研究では,確率論的な空間分布推定手法であるガウス過程回帰を用いて,腐食ひび割れ幅の空間分布情報から鋼材質量減少率の1次元空間分布の推定を行う方法の提案を行った.ガウス過程回帰を用いた異種特性値の推定においては相互相関のモデルが重要となるが,そのパラメータは最尤法により推定した.提案手法の検証として室内試験で得られている腐食ひび割れ幅から鋼材質量減少率の空間分布を推定し真値と比較した結果,概ね整合する結果が得られた.