地方都市の1つである福井市の周縁部に数十年前に開発された戸建住宅地においては、「空区画」の存在と共に、「区画の統合化」が目立つ事例が複数存在する。
本研究では、複数区画利用のプロセスを明らかにし、空区画を利用した居住者による自律的住環境形成に向けての基礎的知見を得ることを目的とする。
本研究を通して明らかになった内容をまとめると次のようになる。
(1)空区画の数は年々減少し区画統合は継続的に行われており、未利用地の多くは団地外居住者が所有している。また複数区画利用世帯では、非隣接区画の所有や賃貸での暫定利用も見られる。
(2)区画の統合化には、接道条件や方位との関係が大きく関係している。
(3)区画の複数利用が行われている背景には、3世代居住や将来の親族への土地の確保が活発であるため、交通手段が不便であり駐車場を確保するため、土地価格の安さの大きく3点が影響している。
(4)区画統合世帯の多くは現住宅への定住を希望していると共に、居住者は未利用地に対し、必ずしも否定的に捉えているわけではなく、管理面での改善を望んでいる。