抄録
高齢運転者の安全向上に向け、サポカーや後付け型の安全運転支援装置(以下、装置とする)の購入補助などの対策が行われている。過去に筆者らが行った調査の結果から、安全確認を慎重に行わないような「装置の利用により安全性向上に寄与する可能性がある人」が装置を有用と思わないジレンマの状況にあることがわかった。そうした人への普及を図るためには、購入補助などに加えて、装置利用を自分事として考えるような情報提供内容の工夫が求められる。本研究は愛知県豊田市の高齢者クラブの集会で、装置や購入補助制度に関する情報提供とともに、装置利用を自分事と考えてもらえるよう、ジレンマの状況に関する調査結果を提示するなど、内容を工夫した情報提供の効果を確認するための調査を行った。その結果、情報提供を工夫した群では装置を利用したいと思う割合が大きく、利用したいと思う理由に違いが認められるなど、工夫の効果が示唆された。