抄録
本研究は、2006年から2015年の間に名古屋市中心市街地で発生した自転車事故データを用いて、交差点構造及び自転車道路が自転車事故に与える影響を分析した。自転車の保有率が増加する中、自転車事故が全交通事故件数に占める割合は対象期間中毎年25%を上回っている。自転車事故の多くは交通量の交差が多い交差点で起きているため、本研究では交差点での事故を対象とし、交差点構造データ及び自転車道路データを収集し、これらの要素が自転車事故発生に及ぼす影響を負の二項分布モデルを用いて分析した。モデルの推定結果により、大きい交差点ほど自転車事故リスクが高いことと、小さくてもストップサインのみの交差点は自転車事故リスクが高いことがわかった。更に、単路から交差点横断部分まで明確に標示されている自転車道路による周辺交差点の自転車事故減少効果が有意であることが示された。