抄録
本研究では、土地利用基本条例制定により、都市計画区域内外を含めた包括的土地利用コントロールを目指す長野県飯田市を取り上げ、その制度内容の調査分析を行った結果、500㎡を超える建築・開発行為等について、開発のための基準を設定した届出勧告制を全市に課し、法的拘束力は弱いものの全市で土地利用コントロール可能とする仕組みを構築していることが分かった。独自の地域区分としては、都市計画区域内外に跨る農振白地地域を土地利用誘導地域に設定し、土地利用上課題のある地域を明示することで、地域の意識を高め、地域土地利用計画策定のきっかけとなることも期待している。また、地域土地利用計画策定2事例から自治区レベルで都市計画区域内外おいて一体的に土地利用計画を実現していることが分かった。加えて、市を区分する4つの地域区分とは別に将来、法令等に基づく土地利用計画との調和が懸念される地域を土地利用調整地域として設定し、対象指定想定エリアの一部は都市計画区域編入後の特定用途制限地域や地区計画の指定によって現行土地利用規制との調整が行われている。