抄録
岐阜市と津市を対象に2005年,2010年,2015年の国勢調査の地域メッシュデータを用いて,両市における人口分布及び居住地空間の集約・拡散状況について分析した。分析手法としては市街化区域内外における人口の時系列推移の集計,人口階級別の人口及びメッシュ区画数の把握,人口密度関数の推計などを行った。その結果,両市において居住人口の市街化区域内比率が上昇していることから,人口の受容という面では市街化区域制度が有効に機能していること,両市ともに1000人以上の人口を持つメッシュに人口が集約されつつあること,一方で居住地空間としては都市中心部から拡散する傾向にあることが示された。特に津市においては郊外の田園地域において新たに人口が定着する地点が見られ,集約型都市構造の形成とは逆行する傾向がみられる。