2018 年 16 巻 p. 5-8
昭和40年代、国が政策を検討し農協と農家が中心となって進めた、農と住を融合した居住環境の構想として、農住都市構想が発表された。本研究は、農住都市構想を他の制度と比較し位置づけを明らかにした上で、その実現に向けた、歴史の整理をおこなった。さらに、建設費の融資制度である農住利子補給法に基づいて昭和46〜51年に建設された232件の建設概要を整理すると、建設主体の多くが個人であり、建設数も都道府県ごとに偏りがあった。また建設された団地配置も想定していたものとは異なった。それらの結果、関係省庁の想定していた農住構想と実態の差異が明らかになり、後に制定される農住組合制度への連続性が見出された。