抄録
近年、まちを流れる農業用水路は農地の都市化によりその役割を終えようとしている。そこで本稿は、大阪府八尾市内を流れる玉串川を対象とし、農業用水路再生における課題や改善点、住民の意識構造を考察した。主に玉串川沿線の3校区において三回にわたりワークショップを開催し意見交換およびアンケート調査を行った。調査の結果、今後の都市に残る農業用水路を住民の憩いの場として再生させるためには、農業用水路としての機能に加え、景観・生態・防災機能などを備えた多機能的な川にしていく必要があり、整備後の川の環境維持には住民自らが環境維持のための活動、住民が川に親しみを持ち、川に触れる活動を行い、継続していくことが重要であることがわかった。