抄録
近年、日本の地方を中心に「買い物弱者問題」が深刻化している。これを受けて、経済産業省は「買物弱者応援マニュアル」を作成し、移動販売や食料品宅配サービスなど先進的な取り組みを紹介している。しかしながら、買い物支援サービスの需要と社会的便益を適切に評価できる統計モデルは構築されていない。そのため、自治体が買い物支援サービスの必要性を、需要と社会的便益の両面から評価することは困難である。本研究では、買い物支援サービスの一つである移動販売に着目し、上記の課題を解決すべく(1)移動販売の利用頻度の規定要因、(2)移動販売の利用が人的交流に与える影響を定量的に明らかにすることを主たる目的とした。