日本トレーニング指導学会大会プログラム・抄録集
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Print ISSN : 2433-7773
第10回日本トレーニング指導学会大会
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ポスター発表
動力刈り払い機を用いた草刈り運動が体幹の筋活動に与える影響 ―体幹支持エクササイズと比較して―
*刀根 隆広笠原 政志山本 利春藤本 瞳
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p. P08-

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抄録

1 国際武道大学大学院武道・スポーツ研究科、2 国際武道大学体育学部、ウェルネスポーツ鴨川3 【トレーニング現場へのアイデア】動力刈り払い機を使用した草刈り運動(以下、草刈り運 動)中の体幹筋活動は、一般的に行われている体幹支持エクササイズと同等以上であること が明らかとなった。したがって、草刈り運動は、現在農村地域で課題となっている土地の荒 廃を解消し、土地の整備に寄与することができるだけではなく、体幹支持に寄与する体幹部 の運動に繋がっていることが示唆された。つまり、草刈り運動は健康づくりの観点から見て も有用な運動であり、生活に根ざした推奨すべき運動の1 つであると言える。 【目的】本研究は、草刈り運動と一般的に行われている体幹支持エクササイズにおける体幹 部の筋活動量を比較することを目的とした。なお、草刈り運動熟練者からのヒアリングによ り、草刈り運動は体幹部の活動が活発であり、健康づくりとして有用であると仮説を立てた。 【方法】実験または測定環境:実験環境はC 県内の平地で実施し、対象となる草の高さはお よそ1m とした。実験または測定参加者:1 年以上の草刈り運動経験のある6 名を対象に行 った(年齢:36.5±9.3 歳、身長:171.1±5.7cm、体重:67.3±10.0、BMI:22.9±2.8)。実 験または測定手順及び分析方法:①測定方法:先行研究の方法に基づき、表面筋電図を用い て左右の内腹斜筋と多裂筋に電極を貼付し、草刈り運動中のそれぞれの筋電図を測定した。 ②実験手順:草刈り条件では直進方向に進みながら30 秒間を4 セット実施した。その後, 30 分間座位安静で十分な休息を取った後、体幹エクササイズを30 秒間で9 種目実施した。 統計分析:得られた筋電図波形は整流平滑化し、ノイズ等が含まれていない20 秒間を範囲 指定にした積分値を求め、定量化した。また、両側性の体幹エクササイズは、左右の内腹斜 筋と多裂筋の筋活動量の和を総体幹筋活動量として定義した。左右対称の体幹エクササイ ズは、上記と同様に総体幹筋活動量を求めた後、平均化して1 つのエクササイズ条件として 検討した。その上で、草刈り条件と各体幹エクササイズ条件(条件1〜6)をそれぞれ比較 した。比較にはMann-Whitney のU 検定を用い、有意水準は5%未満とした。 【結果】草刈り条件は、6 条件中5 条件の体幹エクササイズ条件と比較して有意に総体幹筋 活動量が大きかった(p<0.05)。また、有意差が認められなかったエクササイズ(条件6)と 比較しても草刈り条件の方が、総体幹筋活動量が大きい傾向であった。 【考察】草刈り運動は、全ての体幹エクササイズと比較して、十分な筋活動が行われており、 健康づくりのための運動として、有用であることが示唆された。本研究で用いた体幹エクサ サイズは姿勢を保持する課題のみであるのに対し、草刈り運動は草による抵抗感もある中 で振動する動力刈り払い機を保持するだけでなく、体幹の回旋運動を伴いながら移動する 際に体幹部を支持する必要があったため、体幹支持エクササイズよりも多くの体幹の筋活 動が起きたと考えられる。

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