日本トレーニング指導学会大会プログラム・抄録集
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Print ISSN : 2433-7773
第12回日本トレーニング指導学会大会
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口頭発表
アルペンスキー選手のパワー発揮特性を考慮した最大無酸素パワーの測定法について
*星野 宏司
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 11-

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抄録
【トレーニング現場へのアイデア】従来の最大無酸素パワーの測定はPower Max VII (コナミ社 製)に内蔵されている3段階の負荷プロトコールで実施した結果、最大値の評価は他の競技種目 との比較が可能であり、各個人の最大無酸素パワー能力の評価ができる。しかしながら、競技 に適応した身体資源を獲得したアルペンスキー選手群では、より競技に特化した独自の最大無 酸素パワーの負荷プロトコールによる測定方法が有効である。 【目的】アルペンスキー選手に必要な身体資源としては最大無酸素パワー能力が求められる。 そこで、アルペンスキー選手はオフシーズン期に必要な身体資源の獲得が急務である。本研究 はアルペンスキー選手に求められる最大無酸素パワー能力を適切に評価するために最大無酸素 パワー測定による従来型のプロトコールと本研究で独自に考案したプロトールの比較を通し て、アルペンスキー競技に適した最大無酸素パワー発揮能力の評価方法を検討することを目的 にした。 【方法】被験者は男子アルペンスキー選手32名であった。被験者の身体特性は年齢16.6± 0.9歳、身長170.4±6.3cm、体重67.9± 5.2kgであった。 被験者は異なる2種類のプロトコールによる最大無酸素パワーの測定を実施した。従来型のプ ロトコールによる最大無酸素パワーの測定はパワーマックスVⅡ(コナミ社製)に内蔵されて いるパーソナルコンピューターで3段階の負荷値により、被験者は10秒間の全力駆動運動を 実施して最大値を算出する方法で実施した。一方で、本研究は独自に体重当たりで3%、5%、 7.5%、9%、11%、13%、15%の7段階の負荷値で10秒間の全力駆動運動を実施した。 なお、測定結果の比較には対応のあるt検定を用いて危険率5%水準で行った。 【結果】2種類の負荷プロトコールによる比較では、従来型の負荷プロトコールが16.1± 1. 7watt/kgに対し本研究で考案した7段階の負荷プロトコールでは13.4± 2.2watt/kgで 有意な差が認められた(p<0.05)。一方、最大無酸素パワー発揮時に得られた至適負荷値で比 較すると、従来型の負荷プロトコールは8.7±1.1kpに対して本研究で考案した7段階 のプロトコールでは、至適負荷は9.3±1.7kpで従来型に比較して有意に高値を示した (p<0.05)。 【考察】アルペンスキー選手に2種類の負荷プロトコールによる最大無酸素パワー測定を実施し た結果、最大値による評価指標に加えて、アルペンスキー選手のパワー発揮特性を考慮した至 適負荷値を用いた評価法を用いるためには、7段階の最大無酸素パワーの負荷プロトコールに よる測定が有効である。
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