2024 年 4 巻 p. 89-94
【はじめに】橋梗塞後に歩行中のlateropulsionを呈し,Gaze-stabilization exercises(以下,GSE)により静的立位・歩行の姿勢制御に即時的改善を認めた症例を経験したため報告する。
【症例紹介】対象は左橋梗塞で入院した80歳代の男性であった。13病日にGSEのAdaptation exerciseを15分間実施した。介入前後に,開閉眼立位時と歩行時の前後左右方向の体幹加速度の振幅の実効値(Root Mean Square:以下,RMS),歩行周期時間の変動係数(Coefficient of Variation:以下,CV),快適歩行速度(Comfortable Walking Speed:以下,CWS)を評価した。
【経過(結果)】介入前/後,RMSは開眼立位が前後0.036/0.054 m/s2,左右0.557/0.069 m/s2,閉眼立位が前後0.059/0.061 m/s2,左右0.753/0.151 m/s2,歩行が前後17.402/16.818 m/s2,左右20.761/9.770 m/s2,歩行時のCVは7.08/3.31%,CWSは0.39/0.56 m/sであった。介入4時間後のフォローアップ評価におけるCWSは0.48 m/sであった。
【考察・まとめ】GSEにより前庭系の重みづけが代償的に変化したことで,姿勢制御に即時的な変化を認めたと考えた。