2024 年 4 巻 p. 81-87
【はじめに】Venovenous extracorporeal membrane oxygenation(以下,VV-ECMO)を装着した重症レジオネラ肺炎患者に対して腹臥位療法を行った。酸素化の改善により,VV-ECMOを離脱できたため報告する。
【症例紹介】交通外傷後の意識障害のため人工呼吸器管理となった60歳代の男性。入院後,重症レジオネラ肺炎による呼吸不全増悪により酸素化指数(PaO2/FIO2 ratio:以下,P/F比)75のためVV-ECMOが導入された。前胸部では水泡音,背側下部では呼吸音減弱,胸部レントゲン画像では広範囲の浸潤影を認めた。そのため,両側下葉の広範な無気肺,気道分泌物の貯留が推察され,腹臥位療法を行った。
【経過】腹臥位療法は1日2時間として,3日間実施した。実施後は多量の黄色膿性痰が吸引され,呼吸音の改善を確認した。また,1回換気量が250 mlから350 mlと増え,経皮的動脈血酸素飽和度は92%から96%へと即時効果を認めた。胸部レントゲン画像で浸潤影の改善,酸素化の改善(P/F比 = 163)を認めVV-ECMOを離脱した。
【考察・まとめ】本症例においては,短時間の腹臥位を含めた頻回な体位管理にて,気道分泌物がドレナージされたことが酸素化の改善に寄与したと考えられる。