2019 年 10 巻 1 号 p. 1_19-1_25
目的:救急外来からの緊急入室の準備をするICU熟練看護師の臨床判断を明らかにする.
方法:A県内の病院のICU看護経験4年以上の5名の看護師を対象に,救急外来からICUへの緊急入室についての連絡を受けてから患者がICUに入室するまでの間の看護師の思考や行動について半構成的面接を行った.聞き取った内容を質的記述的方法により分析した.
結果:ICU熟練看護師の臨床判断として,以下の9の大カテゴリーが抽出された.<情報を関連づけて患者のクリティカルな状態を推論する><患者になされる集中治療の方向性を推測する><入室後の集中治療管理に対応しうる必要物品を見極める><治療が円滑に行われるよう物品の配置をデザインする>などであった.
考察:ICU熟練看護師の臨床判断の特徴は,少ない情報を関連づけながら患者のクリティカルな病態を推論し緊急性や重症度を見極める,患者になされる集中治療の方向性を予測する,などであると考える.