2019 年 10 巻 1 号 p. 1_73-1_79
本研究は,2015年千葉県県民健康・栄養調査の1日間栄養素摂取量データから県民(30~69歳)の習慣的摂取量分布の推定を試みることを目的とした.また食事摂取基準を活用し,1日間および習慣的摂取量分布から過不足者の割合を算出して比較した.
2016年11月に県民調査と同じ手法を用いて,千葉県内の70世帯に非連続平日2日間の食事調査を行った.非連続2日間の栄養素摂取量から分布を正規化するための「最良べき数」と個人内変動を調整するための「個人内/個人間分散比」を性別・栄養素別に算出した.これら指標を用いて,Best-Power法により1日間摂取量から習慣的摂取量分布を性別,年齢階級別に推定した.
1日間摂取量は習慣的摂取量に比べて分布幅が広い傾向にあり,食事摂取基準を用いた評価では多くの栄養素で過小または過大評価する傾向にあった.そのため食事摂取基準を活用した栄養素摂取状態の評価は,習慣的摂取量分布を推定する必要があることが示唆された.