2020 年 11 巻 1 号 p. 1_64
(緒言)
千葉県の健康格差分析事業報告書1)をみると,千葉県の健康課題は地域により相違があるが,高齢化率の上昇は各地域で共通している.健康寿命の延伸は千葉県にとっても大きな課題である.そこで,千葉県の高齢者の健康寿命の延伸に寄与することを目的に「ほい大健康プログラム(以下P)」を教員が作成し,学生ボランティアおよびUR都市機構(以下UR)と協働で実施し評価し検討した.
(研究方法)
UR 4団地(高洲第一(以下第一),高洲第二(以下第二),千草台(以下千草),あやめ台(以下あやめ))に居住し募集に応じた高齢者を対象とした.Pは,栄養,歯科,理学,運動,カフェ(医療相談等も含む)とし各30分程度実施した.カフェ以外は,1回に2つを組み合わせて実施し,各プログラム実施後2か月半~5か月経過後に再度,それに関するPを実施した.1回目に,属性ID,身体状況等,口腔アンケート,Pに対するアンケート(以下,P評価A)を行い,栄養プログラム実施回(2回)に食習慣調査を実施した.更に4回目に全プログラムに対するアンケートを実施した(P総合A).4回全てのPに参加した参加者には修了書を,それ以外の参加者には参加証を授与した.
(結果)
実施場所別の実施日時,P内容,対象者数(男性,女性),教員数,学生数は,以下の通りである(単位:人).第一・第二:6/9(土)栄養・理学,33(9,24),15,12,9/24(月・祝)歯科・運動,22(6,16),12,7,10/28(日):栄養・運動,27(5,22),11,12,12/9(日):歯科・理学,27(6,21),12,23,千草・あやめ:6/30(土)栄養・理学,36(6,30),12,11,9/20(木):歯科・運動,30(7,23),9,8,12/2(日)栄養・理学,31(7,24),12,14,2/21(木):歯科・運動,38(13,25),14,7,延べ人数は,参加者244(59,185),教員97,学生94.修了証書者は31(第一7,第二6,千草12,あやめ6),参加証書者は53(同24,5,7,17)であった.なお,参加者は午前,午後でほぼ半数となるが,スタッフはそのまま対応した.
P評価Aの結果(平均±S.D(%))を見ると「参加してとても良かった」および「良かった」は99±4,「また参加したい」は95±6,「今後取り組みたいプログラムがある」は59±4,「教えてあげたいプログラムがある」は51±5で,関心のある健康情報は,食事70±4,運動67±5,認知症66±6,生活習慣病予防49±8,歯の健康47±6であった.
P総合Aの結果をみると,「Pは楽しかった」については,栄養78%,歯科74%,理学92%,運動78%,「カフェに大満足」は69%であった.Pによる生活習慣の変化は,食習慣の見直しを実施53%,コグニサイズの習慣化15%,以前より口腔ケアを意識する68%,大いに運動するようになった43%であった.
(考察)
Pの評価が高かったことから,Pが千葉県民の健康づくりに寄与できることが示唆された.評価の高かった理由は,URの担当者の対象者への丁寧な周知と対応,実施日については本チームのメンバーが対象者1名に1名程度と手厚かったこと,昨年度からの継続であるため信頼を得たことも大きいと考えられる.さらに,結果を解析し検討したい.
(倫理規定)
本研究は千葉県立保健医療大学倫理審査委員会の承 認(2018-06)得て実施した.
(利益相反)
開示すべきCOI関係にある企業等はありません.