2021 年 12 巻 1 号 p. 1_19-1_25
研究目的は,千葉県内の病院の看護職員確保の困難の実態と,現在実施している採用活動・定着促進との関連を明らかにし,看護職員確保に向け,各病院レベルで講じることのできる対策について示唆を得ることである.
千葉県内286 施設の看護管理者等に質問紙調査を実施した.169 施設の回答(回収率59.0%)のうち,看護師の採用の困難あり116 施設(70.8%),定着の困難あり69施設(40.8%)であった.採用活動のうち「臨地実習の受け入れ」(p= .009)は困難がない方向に関連があり,定着促進のうち「看護手順書・マニュアルの整備」(p= .043)は困難がない方向に関連があった.病院が看護職員確保の困難を軽減するには,採用活動では求職者側が求める情報が効果的に発信できているか,定着促進では看護マニュアルや入職者へのサポート体制が機能しているか,それぞれ見直す必要があることが示唆された.