千葉県立保健医療大学紀要
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令和3年度学長裁量研究抄録
栄養学科卒業生に対するリカレント教育のニーズ調査と実施に向けた検討
細山田 康恵生魚 薫峰村 貴央鈴木 亜夕帆海老原 泰代河野 公子金澤 匠荒井 裕介平岡 真美加瀬 政彦菊池 裕谷内 洋子井上 裕光
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2023 年 14 巻 1 号 p. 1_96

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抄録

(緒言)

 本学が2009年に開学し,栄養学科では,9期生まで219名の卒業生を輩出してきた.開学から10年が経過し卒業生のリカレント教育に対するニーズが高いと考えられる.また,リカレント教育は,本学の重点施策の一つになっており,仕組みづくりは重要な課題でもある.本研究では,卒業生がリカレント教育にどのようなことを望んでいるのかニーズを把握する.さらに,家政系公立大学のリカレント教育の取組について調査し,栄養学科分科会へニーズを還元し,各方面に必要なリカレント教育ができるようにすることを目的とする.

(研究方法)

 学科卒業生1期生から9期生を対象に,2021年10月~11月にWEBを用いた質問紙法でアンケート調査を実施した.対象者への調査協力依頼は,栄養学科分科会を通じて,E-mailを用いて行うため,参加は本人の自由意思に基づくように配慮した.対象者はQRコードからフォームを入手して,無記名式アンケート方式により,同意した方に回答を送信してもらう方法で実施した.アンケートの内容は,卒業年次,在住都道府県,仕事内容,リカレント教育に望むことと実施方法などについて質問した.回収したアンケート解析は,JMPによる単純集計を行い,卒業生のリカレント教育へのニーズを把握した.また,生活科学系の国公立大学におけるリカレント教育の実態をホームページで調べた.

(結果および考察)

 アンケート参加卒業生68名の卒業年次の内訳は,1期生3名,2期生1名,3期生4名,4期生5名,5期生7名,6期生13名,7期生8名,8期生11名,9期生16名であった.アンケート結果から,リカレント教育に関心のある卒業生が45名おり,医療分野や食品分野について,遠隔教育のオンデマンド授業で好きな時間・場所で実施の要望が12名,夜間・土日祝日のライブ授業とオンデマンド授業で好きな時間や場所の要望が8名であった.実施期間は,1日で完結あるいは3~5回の分散が13名ずつであった.居住地は千葉県が37名と約54%を占めており,県内に留まっていることが伺えた.勤務先は,公務員が20名と約30%であった.活躍している卒業生のニーズの違いを理解し,最新情報を提供する必要があると考える.生活科学系の国公立大学24校のホームページの調査では10校がリカレント教育を実施していた.事業を推進している大学は,文部科学省が社会人の学び・リカレント教育を重要視して立ち上げた各種の事業に参画して始めたことが伺えた.一方,実施してない大学でも,社会人を聴講生扱いとして大学の正規の授業科目を受講させるなどの取組が見られた.学科として,分科会にニーズを還元し,必要に応じて協力できる体制を検討すべきと考える.

(結論)

 卒業生のリカレント教育への関心は高いことが明らかとなった.学科として医療や食品分野の最新の情報を遠隔で提供することで,管理栄養士としての知識及び技術の向上を図ることが可能となり,千葉県民の健康づくりに貢献できると考える.また,リカレント教育のプログラムを同窓会の栄養学科分科会と協力して実施することにより,教員と卒業生間のつながりを深めることが期待できる.

(謝辞)

 本学,栄養学科分科会会長の3期生神原愛子氏(旧姓:千葉)に多大なご協力をいただき,WEBアンケート調査を実施することができましたことに厚く御礼申し上げます.

(倫理規定)

 本研究は千葉県立保健医療大学倫理審査委員会の承認(2021-11)得て実施した.

(利益相反)

 開示すべきCOI関係にある企業等はありません.

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