2023 年 14 巻 1 号 p. 1_97
(緒言)
近年,日本では,誰もがいくつになっても学び直し活躍することができる社会の実現に向けて,主に学校教育を終えた後の社会人が大学等の教育機関を利用した教育であるリカレント教育を推進している1).また,さらなる卒後教育の充実や教育プログラムの開発などのシステム作りの必要性を示す研究報告等が行われている2-3).
本大学歯科衛生学科では,これまでリカレント教育にかかわるプログラムの策定や実践は行われていない.本研究は,リカレント教育プログラム策定のための基礎資料とすることを目的とする.
(研究方法)
本研究では,以下の2つを実施した.
1)R2年度卒業生に対し,2021年10月末に卒後研修の希望調査をMicrosoft Forms(Forms)を使用して実施し,希望がある卒業生に対しメール等で連絡をとり,個別に対応を行った.
2)本大学同窓会歯科衛生学科分会の協力のもと,分会のメッセンジャーアプリケーション(LINE)に登録している卒業生に対してForms を使用して調査を行った.調査内容は,勤務先,進学の有無,リカレント教育希望の有無,大学への要望(研修・研究支援・就職支援・情報交換・各種相談・資格取得)などであり,分析はリカレント教育の参加と各種要望(研修・研究支援・就職支援・情報交換・各種相談・資格取得)の有無をFisherの正確確率検定,各種要望の有無に影響する事項を多重ロジスティック解析にて行った.
(結果)
1)R2年度卒業生(9期生)への卒後研修
4名から申し込みがあり,来学が可能な3名に対して,歯石除去についての実習指導を2時間/人程度行った.
2)卒業生の現状とリカレント教育の要望調査
79名(平均年齢26.9±2.6歳)の回答を得た(回答率37.1%).千葉県内在住者は36名(45.6%)であり,歯科衛生士として勤務している人は61名(77.2%)であった.勤務している人のうち歯科診療所勤務は35名(57.4%)であり,病院勤務は15名(24.6%),県・市町村勤務は8名(13.1%)であった.進学経験有は2名(2.5%)であった.
リカレント教育については,「内容や開催日等があえば参加する」49名(62.0%),「希望するが今は参加できない」8 名(10.1 %),「希望しない」11 名(13.9%)であった.リカレント教育の参加と各種要望の関係は,研修,情報交換,資格取得,就職支援,各種相談で有意な差がみられた(研修・情報・資格取得 p <0.01, 就職支援,各種相談 p <0.05).さらに,研修支援,研究支援,各種相談では勤務先,就職支援では結婚の有無が影響することが明らかとなった.
(考察)
卒後研修では,参加者の質問にじっくり答えることができ,参加者には好評であった.今後も要望があれば行う必要があると考えられた.また,リカレント教育の要望調査では,リカレントプログラム策定時に,情報交換や資格取得を考慮することや,内容により勤務先や結婚の有無を配慮する必要があることが示唆された.
(倫理規定)
本研究は,千葉県立保健医療大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号2021-18).
(利益相反)
本研究における開示すべきCOI 関係にある企業等はない.