2025 年 16 巻 1 号 p. 1_3-1_11
本研究では,卵巣摘出ラットの肝オートファジー活性と血中オートファジー調節因子濃度の変化との関連性及び卵巣摘出が酸化ストレスに及ぼす影響について検討した.
雌ラットを偽手術群(Group. 1-4でn=3-6)と卵巣摘出群(Group. 1-4でn=3-5)に分けて手術を施し,所定の日数(Group. 1-4: 1,3,7,14日)を経過した段階での肝オートファジー活性マーカー(LC3)や血中オートファジー調節因子(血糖,インスリン,プロゲステロン,コレステロール),酸化ストレスマーカー(d-ROMs)の変化を調べた.
卵巣摘出群では,プロゲステロンの減少に加えてインスリンやコレステロールの増加が確認され,肝オートファジー活性低下の原因となっていることが示された.しかし,オートファジー調節因子の変化と肝オートファジー活性は必ずしも一致しなかった.さらに,手術後14日(Group. 4)では酸化ストレスの減少も見られたことから,肝オートファジーの低下が生体内酸化ストレスを低下させる可能性が示唆された.