千葉県立保健医療大学紀要
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東日本大震災時の学生および教職員による安否確認行動について
桝本 輝樹鈴鹿 祐子今井 宏美亀井 縁浅井 美千代
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2015 年 6 巻 1 号 p. 1_37-1_42

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抄録

 保健医療系大学在学生に対して,大規模災害時の安否確認についての意向や行動を調査し,あわせて災害時の対応マニュアル作成のための基礎資料とすることを目的として,千葉県立保健医療大学在学生と教職員を対象に,東日本大震災時の安否確認行動についてのアンケート調査を実施した.
 アンケートは600名に配布し,有効回答率は38.8%(232通)であった.調査の結果,在宅かどうかを問わず,連絡(安否確認)をとりたいと思った対象は母親を中心とした家族が最も多く,使用しようとした連絡手段は携帯電話およびショートメールであった.
 SNSは輻輳がなく,クラウドや海外にサーバを置くものも多いため利用できなかった割合が低く,有効性が裏付けられたものの,活用の度合いは低かった.
 緊急時の連絡手段などについての話し合いが行われているかどうかについては,家族と話し合いをしている割合が55%,大学関係者とは35%,実習先との連絡方法を検討している割合は17%に留まった.
 本研究により,学生,教職員のいずれも家族を中心とした親族の安否を確認,かつ自らの安全を伝達することを望んでいることが明らかとなった.また,大学では安否確認の枠組みは設けられているものの,具体的なマニュアルや安否確認システムの整備の余地があり,防災教育の点では改善の余地が大きいことも明らかとなった.

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© 2015 千葉県立保健医療大学
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