抄録
本研究では,終末期にある高齢がん患者の療養生活を支えるために,看護師が高齢がん患者に対して提供している支援の特徴について明らかにすることを目的とした.
2012年8月~12月に,病院等で就労している看護師15名を対象とし,半構成的面接調査を実施した.調査では,「終末期にある高齢がん患者に関わった時の状況」を具体的に尋ねた.面接データは,逐語記録にした後で内容分析の手法に従い質的帰納的に分析した.
その結果,終末期にある高齢がん患者が抱える療養生活上の困難として,《空き待ちをしたりショートステイで繋ぎながら療養生活の場を確保する》など,5カテゴリーが抽出された.抽出したカテゴリーの中には医療面に限らず,高齢がん患者が抱える社会・経済面の困難を反映したものが多数みられた.このことは,地域包括ケアシステムの構築がすすめられる中で,看護師の担う責務が多様化している現状を示しているのではないかと考えられた.