抄録
中高年女性の酸化ストレス状態について,更年期に伴う月経周期の状態や食生活,QOL(quality of life)との関連について検討することを目的とした.40歳以降の女性に対して,酸化ストレス度(d-ROMs値),抗酸化力(BAP値),潜在的抗酸化能である修正比(BAP/d-ROMs値/7.541)に加え,BMI,血圧,総コレステロール,LDLコレステロール,HDLコレステロール,食事摂取,血中ビタミンC・E濃度,健康関連QOLなどを調査した.対象は26名であった.性成熟期・閉経移行期・閉経後で酸化ストレス状態には差はみられなかったが,多重ロジスティック回帰分析ではBAP値・修正比においてBMIの影響がみられた.血中ビタミンC濃度とBAP値の間に正の相関があり,健康関連QOLでは身体的健康度とBAP値・修正比それぞれに正の相関がみられた.本調査では,中高年女性においてBMIは潜在的抗酸化能の低下と関連し,ビタミンC摂取は抗酸化力を亢進させ,結果的に身体的なQOLの向上につながる可能性が示唆された.