本研究の目的は,病棟から訪問看護業務に移行した看護師がその直後に抱く戸惑いや困難の具体的内容を分析し,明らかにすることである.病棟での勤務経験を2年以上経た後,訪問看護に従事して1年前後の看護師5名に対してインタビューを行い内容を分析した.その結果,訪問看護に移行した直後に感じる戸惑い・困難は【利用者と家族の意向や家庭の状況に合わせて妥協する】【病棟にはある材料や薬剤がその場にないため工夫が必要】【一人で訪問する不安】【利用者の治療方針や薬剤の情報不足】【病棟で行ってきた看護が通用しない】【判断基準が病院と異なる】等,12のカテゴリーに集約された.以上の結果より,治療を主な目的とする病院の看護方法を身につけた看護師は,相手に合わせた看護展開を「妥協」と捉える傾向があり,それまでの看護実践方法が「通用しない」場面で,戸惑いや困難を感じていることが明らかとなった.