臨床リウマチ
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原著
神経ベーチェット病における脳幹部萎縮のMRIによる定量的評価と臨床所見の比較検討
髙山 真希
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2010 年 22 巻 1 号 p. 106-111

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抄録
目的:神経ベーチェット病(NB)のMRI画像についての脳幹部萎縮の定量的な検討を行った.
対象・方法:急性型NB9例と慢性進行型NB14例,及び,コントロール群として,種々の神経症状のため頭部MRIを撮影した非ベーチェット病の46例を対象とした.頭部MRI正中矢状断像における脳幹部面積をAdvantage Workstation ver3.0により定量し解析した.
結果:中脳被蓋の面積は,急性型NBでは135.11±24.29mm²(mean±SD),慢性進行型NBでは98.64±24.40mm²,コントロール群では143.64±21.70mm²で,橋の面積は,急性型NBでは490.11±97.00mm²,慢性進行型NBでは395.71±88.90mm²,コントロール群では526.97±50.74mm²であり,いずれも急性型NBとコントロール群の間には有意差は認めず,慢性進行型NBは急性型NBあるいはコントロール群に比し,有意に面積の縮小を認めた.慢性進行型NBでは,脳幹部の萎縮は罹病期間と相関する傾向が見られた.
結論:以上より,慢性進行型NBにおいては,急性型NBあるいはコントロール群と年齢には差がないにもかかわらず,脳幹部の萎縮が強いことが定量的に示された.脳幹部の萎縮の定量的評価は,今後早期診断や治療効果の判定への応用が期待される.
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© 2010 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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