臨床リウマチ
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原著
当院におけるIL-6阻害薬(トシリズマブ:TCZ)の使用経験 ~TCZは生物学的製剤使用のfirst lineとして用いることが妥当である
金沢 守
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2010 年 22 巻 2 号 p. 187-193

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抄録
目的:当院でのTCZ使用症例の現状から得られるデータを下に,TCZを生物学的製剤のfirst lineとして用いることの妥当性を検討した.
対象・方法:2008年5月から2009年9月の間に当院でTCZを導入した35例を対象に市販後日常臨床におけるTCZの有効性の評価を行った.
結果:当院ではTCZを2008年5月から2009年9月の間に35例に導入した.35例のTCZ導入例のうち,生物学的製剤にナイーブな症例は21例,TNF-α不応例が14例であった.2009年9月30日の時点で投与継続中の症例は27例で寛解離脱は2例であった.現在も投与継続中の症例と寛解離脱に至った29例のうち,投与開始から24週以上経過している27症例をTCZをファーストラインとして用いた13例(First群;以下F群)とTNF-α不応例にセカンドラインとして用いた14例(Second群;以下S群)の2群に分け,2群間でDAS28-ESR,VAS,MMP-3値をTCZ投与開始時と24週経過時で比較した.F群ではDAS28-ESRはそれぞれ4.54が1.76,3.38が1.75まで低下した.VASは39.4mm が4.9まで,MMP-3は192.6ng/mlが67.5まで低下した.S群ではDAS28-ESRは5.2が2.17まで低下した.DAS28-CRPは3.85が1.79まで低下した.VASは44.2mm が8.8まで,MMP-3は221.0ng/mlが52.2まで低下した.
結論:今回,TCZをファーストラインとして使用した症例とTNF-α不応例にセカンドラインとして使用した症例の間に有意差は認めなかった.従ってTCZは生物学的製剤を導入する際に第一選択薬の一つとして用いることが妥当であると考える.
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© 2010 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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