臨床リウマチ
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原著
繰り返す脳血管障害を契機に発見され,胸膜炎,ループス腎炎を合併した高齢発症SLEの一例
田中 章仁伊藤 裕紀子杉浦 泰浩瀬嵜 良三
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2010 年 22 巻 2 号 p. 214-219

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抄録
   62歳男性.高血圧,高脂血症のため近医通院中であった.平成19年9月,10月にそれぞれ脳梗塞にて当院神経内科入院となった.その度に抗血小板薬内服を調整されていた.平成20年2月,左胸膜炎にて入院した.入院中に脳梗塞発症し,抗血小板薬増量となった.抗核抗体640倍と高値のため,膠原病関連の胸膜炎疑われ,呼吸器科よりプレドニゾロン20mg/日処方され,改善傾向を認めた.同時に尿蛋白と尿潜血陽性を指摘され腎臓内科紹介となった.平成20年4月,散在性の脳梗塞により入院となった.頰部紅斑,胸膜炎,リンパ球減少,腎障害,抗核抗体陽性,などから全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus;SLE)と診断した.腎生検を施行し,ループス腎炎typeⅣ-S(A/C)と診断した.腎機能は徐々に悪化しており,急速進行性糸球体腎炎(rapidly progressive glomerulonephritis;RPGN)と考えられたため,ステロイドパルスを施行した.その後プレドニゾロン55mg/日を初期用量とし加療した.以降尿蛋白等安定し経過している.
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© 2010 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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