臨床リウマチ
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原著
肺高血圧症合併膠原病患者における酸化ストレスマーカーの測定
橋本 篤遠藤 平仁手嶋 智子田中 住明廣畑 俊成
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2010 年 22 巻 3 号 p. 288-293

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抄録
目的:酸化ストレスは主に酸素を利用した呼吸や好中球・マクロファージの活性化,再灌流障害等によって生成される活性酸素種による細胞障害であり,各種病態に関係することが知られている.膠原病リウマチ性疾患(CTD)患者において酸化ストレスマーカーである血漿中8-isoprostaneと血中ラジカル生成能を測定し,同疾患および肺高血圧症(PAH)の合併における酸化ストレスの関与を検討した.
方法:CTD 26例の血漿中8-isoprostane濃度をEIA法で,同34例と健常コントロール10例の血中ラジカル生成能をDEPPD反応法で測定し年齢,疾患,PAHの合併,PAH合併例では血清心房性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)濃度,心エコー上推定収縮期肺動脈圧(sPAP)との相関を検討した.
結果:血漿中8-isoprostane値は年齢,疾患と相関なく,PAH合併例と比べ非合併例で有意に高値であった.血中ラジカル生成能は年齢と正の相関を認め,PAH合併例では非合併例に比べ有意に高値であった.コントロール例と比べ,PAH合併率の高い強皮症および混合性結合組織病患者において有意に高値であった.PAH合併例では血中ラジカル生成能はBNPもしくはsPAPと正の相関を認めた.
考察:CTD患者においてはPAH合併例で血中ラジカル生成能の高値が確認され,酸化ストレスのPAHへの関与が示唆された.
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© 2010 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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