臨床リウマチ
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誌上ワークショップ 生物学的製剤治療のさらなる挑戦―Drug freeをめざして―
生物学的製剤有効性評価における関節エコー(PDUS)の有用性
谷村 一秀北野 明美
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2010 年 22 巻 4 号 p. 394-400

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抄録

   関節リウマチの発症には活性化されたT細胞や単球,マクロファージ等から産生されるTNFα,IL-1β,IL-6などの炎症性サイトカインが関与しており,これらが関節滑膜炎を発症させ局所炎症や関節破壊など,関節リウマチの病像形成に影響を与えている.現在,これらの炎症性サイトカインをターゲットとした免疫抑制剤や生物学的製剤が使用され,ADLの改善や関節破壊抑制効果などの有効性も多く認められている.現在,治療有効性の評価として,臨床的には炎症反応や自他覚所見をもとにしたDAS28評価が主に用いられている.また画像的評価としては関節レントゲン検査,関節MRI検査による関節所見の観察が評価基準となっているが,最近,画像評価法のひとつとして,パワードプラ法を用いた関節エコー検査(PDUS)が臨床応用され,その有用性が報告されている.これは関節腔内の観察とともに,炎症をともなった関節滑膜の血流シグナルを観察する事で,関節腔内の血流を評価し,薬剤治療効果の画像的評価として試みたものである.最近の生物学的製剤による治療有効性評価や寛解評価において,臨床的評価と画像的評価の乖離例を経験することも多く,関節リウマチの治療経過や寛解を評価する場合には臨床的判断のみならず,関節レントゲン検査,関節MRI,さらにPDUSを経時的に行い,炎症所見や関節破壊の進行抑制を確認する事が重要である.

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© 2010 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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