臨床リウマチ
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総説
関節リウマチの合併症:消化管障害
川人 豊
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2011 年 23 巻 2 号 p. 83-87

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抄録

   関節リウマチの合併症としての消化管病変は,消化管アミロイドーシス,非ステロイド性抗炎症剤などの治療薬によるもの,関節外症状として血管炎による消化管病変の3つが中心である.近年,関節リウマチの治療戦略として,早期診断,早期治療の概念が定着しつつあり,生物学的製剤の登場もあいまって,長期にわたる疾患活動性の制御が可能となってきている.このため,全身合併症としての消化管アミロイドーシスや血管炎も減少傾向にあると予測されるが,いまだに治療に難渋する症例が存在する.その対処法として,生物学的製剤は消化管アミロイドーシスの治療薬としても応用できる.非ステロイド性抗炎症剤では,リスクを考慮したケアーにより上部消化管障害は予防できるようになってきたが,予防策の普及が十分でないため,重篤な潰瘍病変は減少傾向にあるものの総数は減少していない.最近,非ステロイド性抗炎症剤では,下部消化管障害の存在も注目されており,下部消化管においても安全性の高いCOX-2阻害薬の使用が期待されている.本稿では,これら関節リウマチの消化管病変の診断と治療について,日常診療上の注意点を挙げながら概説する.

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© 2011 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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