臨床リウマチ
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23 巻 , 2 号
臨床リウマチ
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
Editor's Eye
誌説
総説
  • 川人 豊
    2011 年 23 巻 2 号 p. 83-87
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
       関節リウマチの合併症としての消化管病変は,消化管アミロイドーシス,非ステロイド性抗炎症剤などの治療薬によるもの,関節外症状として血管炎による消化管病変の3つが中心である.近年,関節リウマチの治療戦略として,早期診断,早期治療の概念が定着しつつあり,生物学的製剤の登場もあいまって,長期にわたる疾患活動性の制御が可能となってきている.このため,全身合併症としての消化管アミロイドーシスや血管炎も減少傾向にあると予測されるが,いまだに治療に難渋する症例が存在する.その対処法として,生物学的製剤は消化管アミロイドーシスの治療薬としても応用できる.非ステロイド性抗炎症剤では,リスクを考慮したケアーにより上部消化管障害は予防できるようになってきたが,予防策の普及が十分でないため,重篤な潰瘍病変は減少傾向にあるものの総数は減少していない.最近,非ステロイド性抗炎症剤では,下部消化管障害の存在も注目されており,下部消化管においても安全性の高いCOX-2阻害薬の使用が期待されている.本稿では,これら関節リウマチの消化管病変の診断と治療について,日常診療上の注意点を挙げながら概説する.
原著
  • 中崎 聡, 村山 隆司, 加藤 真一
    2011 年 23 巻 2 号 p. 88-94
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    目的:メトトレキサートと低用量ミゾリビンパルス療法併用の有効性と安全性について後ろ向き研究にて検討した.
    対象:2006年12月から2009年6月までの間に,メトトレキサート効果不十分例に低用量ミゾリビンパルス療法を追加併用したRA患者37名を対象とした.
    方法:メトトレキサート内服時,同時にミゾリビン1回100mgから始めて,症例によっては150mgまで増量した.効果判定はCRPによる4項目DAS28(DAS28)のEULAR改善基準で行なった.DAS28のEULAR改善基準のmoderate response以上を満たしている症例のLUNDEXを計算した.また,ミゾリビンが有効だった一症例を示した.
    結果:最終観察日のミゾリビン1回投与量は,100mg2名(5%),150mg35名(95%)であった.評価できた症例の内,DAS28のEULAR改善基準のmoderate response以上を満たしている症例は,1か月32名中28%,2か月36名中36%,3か月22名中36%,4か月20名中35%,5か月14名中43%,6か月14名中43%であった.LUNDEXは1か月24%,2か月35%,3か月25%,4か月22%,5か月20%,6か月21%であった.有効例としてDAS28を悪化させずに,プレドニゾロン10mg/日を3mg/日に減量できた症例を提示した.副作用中止例はなかった.
    結論:メトトレキサートに低用量ミゾリビンパルス療法を追加併用することは,安全に実施できており,メトトレキサート効果不十分で生物学的製剤使用不可例に対する治療の選択肢の一つであると考えられた.
  • 須田 昭子, 宮城 瑠美子, 長岡 章平, 出口 治子, 石ケ坪 良明
    2011 年 23 巻 2 号 p. 95-101
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    目的:当科通院中のRA患者のトシリズマブ(TCZ)の有用性の評価.
    方法:2008年7月より当科でTCZを導入し24週以上観察しえた症例28例(男性2例,平均年齢54.3歳,平均罹病期間9.7年)について検討.
    結果:全例が過去に1剤以上DMARDs(抗TNFα製剤は19例)を使用.併用薬はMTX(8-15mg/w)19例,その他4例,単剤は5例.開始前と24週後の平均DAS28(ESR)はそれぞれ5.9±0.9,2.5±1.4.PSLは13例で使用.6例が24週以内に減量または中止した.副作用は21例(75%)33件で認められ,1例は肺炎のため12週間休薬した.継続率は100%であった.24週目のgood response21例(75%),remission17例(60.7%)であった.Remissionに影響を与える因子については年齢・罹病期間・stage/class分類・mHAQ・TNF製剤使用歴・RF・DMARDsやPSL併用などで有意差は認めなかった.
    結論:TCZの寛解率・継続率は高く有用な治療薬と考えられる.
  • 尾崎 吉郎, 田中 晶大, 嶋元 佳子, 安室 秀樹, 川上 勝之, 孫 瑛洙, 澤井 宏和, 和田 孝彦, 伊藤 量基, 野村 昌作, 大 ...
    2011 年 23 巻 2 号 p. 102-112
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    目的:大阪北河内地区において“関節リウマチに対する生物学的製剤導入に関する地域連携パス”を稼働している当院において生物学的製剤の導入を行った関節リウマチ症例での各製剤の継続率,および中止・変更の理由などを解析し,連携パス稼働下での特性を把握することを目的として,後方視的調査研究を行った.
    対象・方法:対象は当院開院(2006年1月)から2010年12月末までの5年間に関節リウマチと診断され,当科単独あるいは地域連携パスによる連携症例としてIFX,ETN,TCZおよびADAの生物学的製剤の導入を新規に行った症例,延べ306例を解析した.
    結果:導入時の年齢は,有意差は無いもののETNおよびADAの皮下注射製剤でやや高い傾向があり,連携症例では皮下注射製剤の選択が多かった.2008年に上市されたTCZおよびADAは第二選択となっている場合が多かった.第一選択の症例のみを観察した場合,4製剤の継続率はほぼ同じであった.IFXでは増量が25.1%で行われ,増量症例の継続率が高かった.ETNおよびADAでは投与期間延長による実質的な減量が73.1%,25.0%と高率に行われたが,これらの症例の継続率が高かった.
    結論:調査結果から,高齢・若年および連携・非連携などの患者特有の事情に対し,投与量の増減などで,治療強化や継続率の上昇をめざした対応が行われていると考えられた.
  • 中村 正, 東 修一, 工藤 博徳, 友田 邦彦, 束野 通志, 森 俊輔, 中村 彰宏
    2011 年 23 巻 2 号 p. 113-118
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
       関節リウマチ(RA)治療下の67歳,女性例において,新たな間質性肺病変の出現に際しPneumocystis jiroveci pneumonia(PCP)を想定した早期のステロイドパルス療法・sulfamethoxazole+trimethoprim(ST)合剤を含む加療で臨床的軽快を得た.RA治療下のPCPの特徴として,1)高齢者に発症する,2)リンパ球数が正常でも発症する,3)ヒト腫瘍壊死因子阻害剤の市販後全例調査においてPCPの報告が海外に比べ明らかに高頻度で,使用後早期に発症する,4)診断の遅れで重篤化し予後不良である,5)ステロイドパルス療法とST合剤を含む加療で治癒する,6)ST合剤による予防投与が考慮される,などが挙げられる.PCPは疫学上,抗体検査では殆ど不顕性感染を受けており,AIDSなどの細胞性免疫不全者に発症しやすく,空気感染すると考えられており,ST合剤の予防投与は重要である.RA経過中の間質性肺病変の病態は複雑で,診断の遅れで予後不良となるPCPを予測した早期の対応が実臨床では望まれる.
  • 菊地 克久, 川崎 拓, 奥村 法昭, 笠原 俊幸, 小泉 祐介, 大澤 真, 杉本 俊郎, 藤本 徳殻, 宮原 健一朗, 今井 晋二, ...
    2011 年 23 巻 2 号 p. 119-125
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
       Remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema(RS3PE)症候群に両側胸水を伴った症例を報告する.症例は83歳女性.炎症反応が高値で,好中球優位の滲出性胸水と手の蜂窩織炎様症状を認めた為,感染との鑑別診断に難渋した.ステロイドの増量で,手背と足背に圧痕を伴う浮腫(pitting edema)及び多発関節痛と高熱は急激に改善し,同時に胸水も劇的に改善を認めた.稀ではあるが,胸膜炎を伴うRS3PE症候群があるので注意を要する.
  • 田村 佳奈恵, 北尾 直之, 高橋 秀徳, 三品 泰二郎, 近藤 真, 田中 明彦, 向井 正也
    2011 年 23 巻 2 号 p. 126-130
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
       症例は66歳,女性.関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)に気管支拡張症(bronchiectasis:BE)を合併し,呼吸器感染症を繰り返すため,メトトレキサート(Methotrexate:MTX)や生物学的製剤を使用できず,通常の治療で対応していたが,RAのコントロールは不良であった.気管支拡張部に対して肺部分切除を実施したところ呼吸器感染症が減少し,術後にMTXを導入した.RAのBEに関連した感染の合併は治療選択に大きく影響するため,抗菌薬治療で改善を認めない場合は手術療法を検討する必要がある.
臨床リウマチ医のための基礎講座
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