抄録
目的:私たちは2007年以来,長崎県において関節リウマチ(RA)市民公開講座を計9回行ってきた.これまでの経過で見えてきた傾向と問題点を紹介する.
対象・方法:公開講座は3部構成とし,1) 内科医・整形外科医による講演,2) 理学療法士によるリウマチ体操の実演,3) 会場からの質問に応える形でのパネルディスカッションとした.その際アンケートを回収し,参加者や治療法の年次推移を分析した.また,佐世保市と離島である五島市の結果も合わせて解析した.
結果:9回を通じて50歳以上の参加が多く,RA患者のみならず医療関係者も14%参加していた.罹病期間3年以内のRA患者は30%程度であった.佐世保市と五島市での抗リウマチ薬使用率は67%と59%で有意差はなかった.しかし生物学的製剤では佐世保市では30%の使用があったのに対し五島市では有意に少なかった(p=6.64×10⁻⁸).同一開催場所での今後の参加希望が2回目で有意に低下していた(p=4.86×10⁻⁵).
結論:RAについての参加者の情報収集意欲は高かったが,離島とそれ以外の都市で生物学的製剤使用率に関して大きな差があった.これらのデータから,公開講座をどのように進めるべきかを工夫しながら,継続的な普及活動を行うことが必要と考えられた.