抄録
近年,関節炎,レイノー現象や抗核抗体など,膠原病を示唆する症状や検査所見を認めるものの,特定の膠原病の診断基準を満たさない症例があり,undifferentiated connective tissue diseases(UCTD)と呼ばれている.これらの多くの症例は軽症であり,少量のステロイドで活動性が抑えられている.症例は55歳女性.急速に進行した足趾の皮膚潰瘍は壊死に至った.病理組織では血管炎を認めたが,特定の膠原病の診断基準を満たさず,UCTDと診断した.ステロイド治療が有効であったが,足趾先端の壊死は自然離断した.進行性の血管炎をきたす場合には,病理学的診断を得て早期の鑑別診断と治療方針の決定が重要と考えた.