臨床リウマチ
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総説
多発性筋炎・皮膚筋炎における自己抗体
平形 道人
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2013 年 25 巻 3 号 p. 149-158

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抄録
   多発性筋炎/皮膚筋炎(polymyositis/dermatomyositis; PM/DM)は,筋力低下を主徴とする慢性炎症性疾患で,その臨床像は多彩である.本疾患においても他の膠原病と同様,種々の細胞成分に対する自己抗体が高率に検出される.特に,PM/DMに特異的に見出される自己抗体(myositis-specific autoantibodies; MSAs)は,診断,病型の分類,予後の推定,治療法の決定など臨床的に有用である.さらに,かかる自己抗体が標的とする自己抗原が細胞内の重要な生物学的機能を持つ酵素や調節因子であることが同定され,自己抗体産生機序を考える上で重要な知見となっている.とくに,PMに特異的な抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体や抗SRP抗体などが蛋白合成・翻訳と関連する細胞質蛋白を標的するのに対し,DMに特異的な抗Mi-2抗体や抗TIF1-γ抗体などが核内転写調節因子を標的とすることは,自己抗体と病態形成との関連を考える上で注目される.さらに,従来,自己抗体が稀とされてきた,amyopathic DMの抗CADM-140抗体や悪性腫瘍を合併する筋炎の抗TIF1-γ抗体は早期診断・治療など臨床的に有用なばかりでなく,これらの疾患の病因追究に大きな手掛かりを与えるものと期待される.本稿ではPM/DMにおける自己抗体とその臨床的意義について,最近の知見を含め概説する.
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© 2013 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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