臨床リウマチ
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25 巻 , 3 号
臨床リウマチ
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
Editor's Eye
誌説
総説
  • 平形 道人
    2013 年 25 巻 3 号 p. 149-158
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
       多発性筋炎/皮膚筋炎(polymyositis/dermatomyositis; PM/DM)は,筋力低下を主徴とする慢性炎症性疾患で,その臨床像は多彩である.本疾患においても他の膠原病と同様,種々の細胞成分に対する自己抗体が高率に検出される.特に,PM/DMに特異的に見出される自己抗体(myositis-specific autoantibodies; MSAs)は,診断,病型の分類,予後の推定,治療法の決定など臨床的に有用である.さらに,かかる自己抗体が標的とする自己抗原が細胞内の重要な生物学的機能を持つ酵素や調節因子であることが同定され,自己抗体産生機序を考える上で重要な知見となっている.とくに,PMに特異的な抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体や抗SRP抗体などが蛋白合成・翻訳と関連する細胞質蛋白を標的するのに対し,DMに特異的な抗Mi-2抗体や抗TIF1-γ抗体などが核内転写調節因子を標的とすることは,自己抗体と病態形成との関連を考える上で注目される.さらに,従来,自己抗体が稀とされてきた,amyopathic DMの抗CADM-140抗体や悪性腫瘍を合併する筋炎の抗TIF1-γ抗体は早期診断・治療など臨床的に有用なばかりでなく,これらの疾患の病因追究に大きな手掛かりを与えるものと期待される.本稿ではPM/DMにおける自己抗体とその臨床的意義について,最近の知見を含め概説する.
  • 辻 成佳, 濱田 雅之, 冨田 哲也
    2013 年 25 巻 3 号 p. 159-163
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
       近年,関節リウマチの治療は早期からMTX投与を行い,生物学的製剤の適応を考慮して寛解導入を目指す治療が行われ,良好な治療成績が報告されている. しかし関節リウマチ発症早期で疾患活動性が十分にコンロトールされていない時期や,すでに関節破壊が進行したために動作時痛が残存している症例の場合,対症療法として非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は現在でも汎用されている.
       関節リウマチ診療に携わる医師にとってNSAIDsによる消化管障害対策は必須であり,今回はNSAIDs潰瘍に焦点を当てて報告する.
原著
  • 有光 潤介, 岸田 友紀, 中西 美保, 大塚 静英, 吉川 秀樹, 萩原 圭祐
    2013 年 25 巻 3 号 p. 164-173
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    目的:リウマチ膠原病患者の消化器症状のQOLを検討した報告は少ないことから,消化器症状のQOL実態を行った.
    対象・方法:外来のリウマチ膠原病患者を対象に,Global Overall Severity(GOS)とGastrointestinal Symptom Rating Scale(GSRS)を組合せ消化管症状のQOLを評価し,患者背景,プロトンポンプ阻害薬(PPI)の使用状況,プレドニゾロン(PSL)の投与量別の検討を行った.
    結果:152例の患者背景は,男:女=20:132,平均年齢56.9±13.8歳,BMI21.03±2.46,関節リウマチ(RA)68例,全身性エリテマトーデス(SLE)20例であった.GSRSスコアの平均は1.68±0.71であり,消化器症状のQOL低下を認めた(一般住民のスコア:1.53).薬剤に関連せず,便秘の症状が,RA群(1.95±1.08)・SLE群(1.97±0.80)ともに高かった.SLE群では,PSL10mg未満でも,胃の痛みなどの症状を約半数に認め,PPI内服でも,酸逆流,腹痛,消化不良の症状が残存していた.GOS3以上で,エソメプラゾール20mgに変更を希望した患者29例では,2週間後の胃もたれが有意に改善していた.(p=0.0186)
    結論:リウマチ膠原病患者では,PPI内服でも消化器症状が残存し,消化器症状のQOL改善が必要であることが示唆された.
  • 加藤 幸夫, 本田 清昌, 中島 歩, 河本 健
    2013 年 25 巻 3 号 p. 174-184
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    目的:in vivoでのヒアルロン酸の標的遺伝子の探求.
    対象:変形性関節症ラットの膝関節軟骨.
    方法:膝関節にヨード酢酸を投与した変形性関節症のラットに,高分子ヒアルロン酸を関節内注射して,軟骨細胞でのヒアルロン酸応答遺伝子をDNA microarray法にて解析した.
    結果:高分子ヒアルロン酸は,関節症により低下したⅣ,Ⅸ,XI型コラーゲンおよび抗炎症因子であるadrenomedullinの遺伝子発現を回復させ,逆に関節症で亢進した数種類の炎症関連因子(phospholipase A2,Toll-like receptor 8など)の遺伝子発現を抑制した.
    結論:変形性関節症の軟骨において,高分子ヒアルロン酸の関節内注射は,コラーゲン,抗炎症因子,炎症関連因子などの遺伝子発現を制御することにより病態に影響することが示唆された.
  • 長田 侑, 小林 幸司, 須田 昭子, 長岡 章平
    2013 年 25 巻 3 号 p. 185-191
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
       近年,リウマチ性多発筋痛症(以下PMR)の診断の補助としてエコー(以下US)の有用性が示され,2012年のEULAR/ACRのPMR暫定分類基準では,診断の特異度を高める所見として,USでの肩峰下滑液包炎,上腕二頭筋腱鞘滑膜炎,三角筋下滑液包炎,肩甲上腕関節滑膜炎,股関節滑膜炎,転子部滑液包炎が複合して評価項目に採用された.しかし,実際のPMR症例のエコー所見の報告は本邦では少ない.我々は今回USで経時的観察をしえた3例のPMRを経験した.初診時,全例で両肩関節周囲にUS上の炎症所見を認めた.1例で巨細胞性動脈炎を合併していた.臨床症状および検査所見と同様に,US所見はステロイド治療に反応し速やかに改善した.特に,2例においては,血液炎症反応より鋭敏にUS所見が改善した.ステロイド減量中に,1例で無症候性の上腕二頭筋腱鞘滑膜炎をUSで認めた.PMRにおいてエコーは診断だけではなく経過観察においても有用であると思われた.今回上記自験例に文献的考察を加えて報告する.
誌上ワークショップ LT-6の基礎と臨床
  • 駒井 俊彦, 藤尾 圭志, 山本 一彦
    2013 年 25 巻 3 号 p. 192-197
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
       関節リウマチではTNF-αやIL-6などの炎症性サイトカインが病態形成に関与しているとされる.IL-6は細胞膜結合型受容体を介したクラシカルシグナリングと可溶性受容体を介したトランスシグナリングというシグナル伝達様式をもち,多面的な生理機能,多様な病態形成に関わっている.このようなIL-6が形成する関節リウマチ病態に対して,抗IL-6受容体抗体トシリズマブはシグナル伝達を阻害し,治療薬として臨床的・機能的・構造的寛解をもたらす効果がある.関節リウマチの病態は未だ解明されていないが,IL-6の多面的な機能としての,ケモカインや接着因子発現の誘導による炎症細胞浸潤の促進,血管新生,RANKL発現やMMP産生による関節の破壊,Th17細胞分化,形質芽球分化などが病態に関与している可能性が報告されている.関節リウマチではこうしたIL-6を介した病態機序により滑膜炎を生じ,滑膜組織の増殖によるパンヌス形成や骨びらんの形成,軟骨変性,血管新生などを起こすと考えられるため,トシリズマブは関節リウマチ治療における重要な治療薬として期待される.
誌上ワークショップ 骨粗鬆症治療におけるビタミンDの役割
  • 竹内 靖博
    2013 年 25 巻 3 号 p. 198-202
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
       体内におけるビタミンD作用は,その特異的受容体を活性化することにより発現される.ビタミンD受容体に結合してビタミンD作用をもたらすリガンドは,1α,25水酸化ビタミンD[1,25(OH)₂D]である.天然型ビタミンDは体内において,肝臓および腎で水酸化されることにより,1,25(OH)₂Dとして生理活性を獲得する.1,25(OH)₂Dは主に腸管からのカルシウム・リン吸収を促進することにより,骨・カルシウム代謝調節に重要な役割を果たしている.
       ビタミンDの作用障害は,骨石灰化障害を生じてくる病・骨軟化症をもたらす重症のビタミンD作用不全と,主に骨吸収の亢進による骨代謝障害をもたらす軽症のビタミンD作用不足とに大別される.また,ビタミンD充足度の低下に関わる問題が臨床的に重要である.従来の見解とは異なり,わが国の成人におけるビタミンD充足度はきわめて不良であることが明らかにされており,骨・カルシウム代謝異常症におけるビタミンDの重要性は増大している.ビタミンD充足度の適切な評価と不足への積極的な対応が望まれる.
       骨折の予防を目的とした骨粗鬆症治療においては,活性型ビタミンD₃製剤が広く用いられてきた.新規の活性型ビタミンD₃誘導体であるエルデカルシトールは,既存のアルファカルシドールを上回る骨折抑制効果を有することが明らかにされており,これからの骨粗鬆症治療における主要な活性型ビタミンD₃製剤となることが予想される.
  • 宮腰 尚久
    2013 年 25 巻 3 号 p. 203-208
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
       高齢者の骨折を防ぐには,転倒を予防することが必須である.高齢者の転倒は,身体運動機能の低下のほか,視覚機能の低下や認知機能の障害などのさまざまな要因によって生じるが,身体運動機能には,少なからずビタミンDが関与していると考えられている.これまでの研究により,血中25(OH)D濃度が低い高齢者は,身体運動機能が衰え,転倒しやすい状態にあることが判明している.また,海外では,多くのランダム化比較試験を用いたメタアナリシスによって,ビタミンD(天然型および活性型)投与による有意な転倒予防効果が示されている.このような,ビタミンD投与による転倒予防効果は,ビタミンDの投与量が十分であり,血中25(OH)D濃度が高く維持された場合に発揮されやすい.ビタミンDによる転倒予防効果は,主に,筋に対する作用によって生じると考えられるが,その作用機序には,genomic作用とnon-genomic作用のふたつが存在する.われわれの研究では,ラットのステロイド誘発性ミオパチーモデルにおいて,アルファカルシドールは,筋張力を維持し,筋疲労を抑制し,ステロイド薬によって生じた筋委縮を部分的に抑制していた.今後は,ビタミンDの転倒予防効果に関して,わが国における臨床でのエビデンスの蓄積とともに,さらに詳細な機序の解明が望まれる.
  • 萩野 浩
    2013 年 25 巻 3 号 p. 209-212
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
       エルデカルシトールはこれまでの活性型ビタミンD₃製剤のカルシウム代謝を改善する作用を保持しつつ,骨に対する作用を強めるために,わが国で開発された新たな誘導体である.第Ⅲ相臨床試験結果ではアルファカルシドールと比較して,有意な骨密度増加効果を有し,椎体骨折および非椎体骨折の有意な抑制効果が認められている.またエルデカルシトールの腰椎骨密度増加効果や椎体骨折抑制効果は患者の背景因子によらず認められ,広く骨粗鬆症患者の治療に有益であると考えられている.さらに,エルデカルシトールにはQOLの有意な改善効果が認められた.これらの臨床試験結果から新規活性型ビタミンD₃製剤はこれまでの活性型ビタミンD₃製剤に比較して骨折抑制効果が高く,骨粗鬆症治療での幅広い応用が期待されている.
誌上ワークショップ 寛解導入・QOL向上を目指したRA実地診療の実際―実地医として考えるT2Tとは?―
  • 松野 博明
    2013 年 25 巻 3 号 p. 213-219
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
       関節リウマチ(RA)の治療は2000年代に生物学的製剤が導入されてから診断・治療基準の見直しも行われ寛解をゴールとした治療が望めるようになった.しかし,画期的とも思われた生物学的製剤も高額な治療費や重篤な副作用のリスクなどの課題を残している.欧米のRA治療方針では生物学的製剤の治療へ移行前に経口疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)の併用治療を実施するよう推奨・指導されている.特にDMARDの3剤併用治療については複数のエビデンスの構築により,生物学的製剤による治療の有効性と遜色がないとの報告もあり治療のオプションとして十分に成り立つとの結論も得られている.そこで著者らは本邦で使用可能な3剤のDMARDを用いてDMARDの併用療法が治療のオプションとなり得るかを検証する目的で日本リウマチ実施医会を中心としたJaSTAR studyを実施した.本稿では欧米におけるDMARDの3剤併用治療での位置づけを解説するとともにJaSTAR Studyの中間成績について解説する.
誌上ワークショップ 私の考えるT2T
  • 都留 智巳
    2013 年 25 巻 3 号 p. 220-223
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
       T2Tは関節リウマチ(RA)の治療にあたって普遍的な概念となりつつある.しかし,T2Tの実践にあたって,副作用の少なくない薬剤を早期に投与するため,正確な診断は極めて重要である.RAの診断においては滑膜炎の存在を認めることが最も重要であり,リウマチ因子や抗CCP抗体などの免疫学的検査の結果にとらわれ過ぎないようにすべきである.また滑膜炎の存在診断や治療効果判定に関節エコー等の機材を積極的に使用し,診断の精度を上げることが必要であろう.
  • 岡田 正人
    2013 年 25 巻 3 号 p. 224-226
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
       関節リウマチの薬物治療の進歩は著しく,スタンダードな治療が行われれば機能障害につながる関節破壊を回避できる.しかしながら,専門医へのアクセスは全国的には十分でない地域も残存し,適切なリウマチ医の育成が現実的な解決策である.臨床研修における到達目標を明示し,それを達成するための具体的な研修計画(T2T:Train to Target)の作成と実施が不可欠である.
臨床リウマチ医のための基礎講座
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